【Steam】 Necesse 【2D見下ろし型オープンワールドサバイバルクラフト】
2023.09.11.Mon.22:01

●レビュー説明
プレイ期間:v021まで
プレイ時間:記事執筆時点で60時間
プレイ環境:Steam
プレイ人数:1~250人(筆者は2人マルチプレイで遊んだ)
●公式
https://store.steampowered.com/app/1169040/Necesse/
(Steamストアページ)
●概要とか特徴
2D見下ろし型のアクションRPG。
リムワールドとかコアキーパーのようなもの。それらはやったことないけど。
島に開拓地を作り、NPCを移住させて重労働を指示し、自分は冒険の旅に出かけよう。
●おすすめ度
4.0/5.0
友達とともに開拓地を発展させられる!があくまでメインは冒険(地下探索)とボス戦闘。
ゲームの進展・消化速度が早めだが、お手頃価格でお財布に優しい。
▼良いところ
・実質無限に広がる世界で島々を冒険できる
・NPC住民を活用した開拓地作成に拘れる
・高いマルチプレイ適性
▼好みが分かれるところ
・ゲーム進行が早い
・やりこみ度はそれほど高くない
・冒険の流れは比較的ワンパターン
▼悪いところ
・装備の選択幅が狭い
・住民の指示に小回りが効かない
・中盤あたりの襲撃イベントが理不尽級に厳しい
●良いところ詳細
◯無限に広がる世界で島々を冒険できる
世界は一つのエリアに対して島(バイオーム)が一つになっており、そのエリアが東西南北に無数に繋がっているような形で存在している。エリアごとにバイオームが分かれていて、森や雪原、砂漠といったスタンダードなものから、ダンジョンの入り口、海賊基地といったものまで存在する。移動できるエリアは島一つとその地下だけだが、バイオーム違いの島を探して見つける楽しみがある。NPC達が生活する集落が見つかることもあり、その攻略段階では手に入らない貴重なアイテムが手に入ったり、そこに住むNPCを自分の開拓地にスカウトすることも可能。
基本的なゲームの流れとしては、島を見つける→地下に入って探索する→ボスを倒す→異なるバイオームの島へ というシンプルな流れになっている。ボスを倒し、異なるバイオームの探索を進めるに従い、作成できる設備や装備なども増えていくため、発展を進めていく楽しみがある。新たな装備やアクセサリーの特性と、新たな武器を組み合わせて、いろいろ試していくのも面白い。
◯NPC住民を活用した開拓地作成に拘れる
necesseでは、プレイヤーは開拓地の主となり、寝るための部屋はもちろん、林業や農業、牧畜などを営んだり、滞在できる部屋を作り、NPCの住民を移住させることができる。そうして増えた住民を活用して、物を売り買いしたり、プレイヤーの代行として各作業に従事させるのがnecesseの特徴である。シンプルな加工業、林業、農業はほぼすべての住民が行えるが、狩りや釣り、畜産業など特徴的な作業を委託できるのは特定の住民のみなので、前述した世界の仕様も含めて新たな住民を探す楽しみがある。

▲どんな拘りの開拓地を作るかは君次第だ!
◯高いマルチプレイ適性
1つのサーバーで多くのプレイヤーと同時に遊ぶことができる。一つの島から手に入るリソースの量もかなり多く、漁り尽くせば余るほど算出されるので、ある程度の人数なら問題なく遊べるだろう。チーム分けを行い、PVP設定で対戦することもできるようだ。マルチプレイによって、島の開拓を始め、地下探索・素材探しや戦闘はもちろんのこと、特定NPCや特定バイオームを求めて探索することが格段に楽になる。
◯その他良いところ
・2Dゲームなので相当軽い。ある程度の性能があればグラフィック性能がオンボード仕様でも動作できそうだ。
・ワールド作成時の難易度設定に幅が効く。スタンダードな戦闘難易度はもちろん、襲撃頻度の変更や死亡時の動作(素材だけドロップするなど)も変更できる。
●好みが分かれるところ詳細
◯ゲーム進行が早い
一つの島から手に入るリソース量が多いと書いたが、多すぎるとも言える。Valheimは防具をフル強化するために地道なアイテム回収が求められるため、相応の時間がかかるのだが、necesseは地下の探索が1/4エリア分も完了してしまえば、二人分の最新の防具は作成できてしまうほどの量の資源が手に入る。開拓地で使う分のことを考えるともっと必要かもしれないが、バイオームボスに挑戦できるレベルにはすぐに達してしまう。また、バイオームボスと戦闘する条件も、敵からドロップするなどで入手したボス召喚アイテムを使うだけがほぼほぼのパターンであり、新バイオーム到着からボス戦が始まるまで、特定の素材を運ぶなどといった難しい部分は全くない。探索も地下がメインであり、地上を冒険する要素も殆ど無い……
つまり、ゲーム進行・消化速度がかなり早い。筆者のケースでは、開拓地の拡張に時間を掛けたつもりだったし、拠点の真ん中でダイナマイトが爆発して攻略の足止めを食らったりしたが、v021時点の実績コンプ目前まで進めて60時間も掛かっていない。これは、プレイの変化や新しい風を求める人にとっては良いことと感じるが、じっくり遊びたい人にとっては良くないことに感じるかもしれない。後述の要素を見ると、じっくり遊ぶゲームではない傾向には感じられる。
◯やりこみ度は高くない
探索によってレアなアクセサリを入手したり、得た資源を使って装備を作ったりすることはできる。探索で入手した装備やアクセサリにはエンチャントがついていることがあるため、良いエンチャントを厳選して……と期待したくなるが、エンチャントの種類は決まっており、尖ったエンチャントも多いわけではないし、防具やアクセのエンチャントは上昇幅が地味なものが多いため、特に拘る要素がない(拘っても良いが大きく変わるわけではない)。大量の素材が求められる要素もなく、レベル制ゲームのようなスタッツ積み上げ要素もない、各地にドキュメントが散らばっていることもないので、実績解除(全アイテム入手とか)以外でやり込める要素は実のところほぼないのである。せいぜい、開拓地の形に拘ったりする程度であるか。
やりこみ要素の内容にもよるが、ゲームの寿命を長くする効果は間違いなくあると考えているし、特に、この手のゲームジャンルにおいてはやりこみ要素との相性は抜群のように思えるのだが、実績以外に用意されている部分がない。やりこみ要素が存在することを是とするわけではないし、寄り道しなくて済むからやりこみ要素たくさん要らないよといえばそうとも言える。
◯冒険の流れは比較的ワンパターン
前述の通り、ゲームの流れは「島を見つける→地下に入って探索する→ボスを倒す→異なるバイオームの島へ」と書いたが、本当にこれ以外に新しいことは求められない。また例としてValheimを挙げるが、中盤の沼地から狭いダンジョンに入るようになったり、雪山でダウジングして鉱石を掘り当てたり、大海原の航海に出たりといった新しい体験はnecesseには無い。せいぜい採掘に爆弾を使えるようになって楽になったねとか、乗り物が充実して移動が楽になったねとかそのぐらいである。新しいことは求められないのでスムーズと見るか、展開がワンパターンすぎると見るか……人によって評価が分かれるところだろう。
ただし、ボス戦闘は一筋縄ではいかない難易度になっており、ボス毎に攻略も異なってくる。事前にしっかりと準備・対策することが求められるので、そこを考えるのはちょっとした新鮮な体験とも言えるか。
◯その他
・一部の動物の仕様が初見殺し。牛や羊はスポーン数が決まっているので、序盤の段階で開拓地の島の牛や羊が全滅しがち。ただし他の島から連れてこれるので取り返しの付かない要素というわけではない。ご安心を。
・やや昼の時間が短い気がする。
●悪いところ詳細
◯装備の選択幅が狭い
武器と防具については多くの種類が存在するが、いくつかの仕様により、装備の選択幅が狭い状態になってしまっている。
まず武器については、大きく分けて近接武器・遠隔物理武器・魔法武器・召喚武器の4つに分かれている。このうち、召喚武器は自動でついてくるタレットを召喚するようなもので、武器そのものでは攻撃しないため、実質近接・遠隔物理・魔法の3種類になる。序盤はどの武器でも問題なく戦えるのだが、序盤以降のボスは移動力と殺意が高く、近接が殴れるタイミングも少ない、近接の火力もそこまで突飛したものではないという要素から、ハイリスクローリターンな近接武器は必然的に選択肢から外れていく。よって、中盤以降はボスの攻撃を回避しながら遠距離攻撃を行うゲームになってしまう。もちろん、中盤に手に入る雷槌などその時点では他を圧倒する近接武器が無いわけではないが、武器強化などのやりこみ要素はないため、入手してゲームを進めていくと次第にDPSの物足りなさを感じてくる。魔法武器についても、扱いづらいものが多いため、実用性の観点から選択肢として上がってくる魔法武器は限られてくる。
アクセサリについても一応多種多様なものがあるのだが、効果を重複させられず、尖ったアクセサリもないため、終盤までバランス重視(全ダメージUP)に火力orユーティリティを付けていくだけ……のような構成になりがちである。召喚構成の場合も、最大召喚数を増やすアクセサリーをつけることがほぼ前提なので、それも似たような感じになる。
防具についても、1バイオームにつき1~2種類の防具が増えるだけであり、セット効果が強力(なものも多い)ので、基本的にはそれ一式を着込むことになる。セット効果自体は面白いものが多いのだが、防具強化などのやりこみ要素がないため、有用なセット効果の防具も次第に型落ちになっていく。
以上より、序盤を除いては、遠距離武器+最新バイオームの装備セット+バランス重視アクセ+残りアクセになりがちである。武器のパターンそのものは意外に多く、遠隔物理武器や魔法武器のバリエーションは豊富でプレイ感も少し異なってくるので、全く同じ行動しかできないわけではないが、もうちょっと近接武器が日の目を見る環境になっても良いのではないかと思う。
◯住民の指示に小回りが効かない
開拓地に移住したNPCに対して、指示を行うことができるのは前述した通り。NPC毎にエリアを設定し、その中で特定の作業を優先度をつけて行い、特定のアイテムを拾ったら特定のチェストに格納するように……といった具合ではあるが、指示できることはそれだけである。拾ったアイテムを格納しようとしたがチェストがいっぱいだった時は、その場で立ち尽くして何も行動しなくなるのである。つまり、農作物で手が一杯なので他の農作物を取らず棒立ちという幼稚園児未満の現象が発生する。Satisfactoryではアイテムを仕分けして処理場に突っ込むようなルートを設定できるのだが、ゴミを廃棄する設備とか自動売却する設備(どちらもプレイヤーによって手動で行うことはできる)とかそういった仕組みがnecesseにはないし、過剰にアイテムを取るなという指示もできないため、結局はプレイヤーが定期的にゴミ掃除を行うことになる。チェストの優先度設定などもないので、場所Aから取った素材はチェストAに、場所BからはチェストBに……ということも難しい(最寄りのチェストに格納するアルゴリズムかどうかは未確認)。おまけに、NPCの探知範囲には限りがあるため、基準位置から遠すぎる作業場やチェストには行かないなど、蓋を開けてみるとかなり扱いづらいのだ。
まぁ、通常プレイする上ではそこまで大量の資源が必要になるかというとそうではない(やりこみ要素がない)ので、大規模な開拓地を作らない限りは問題ないと思うものの、工場運営系ゲームと違って鼻につく部分ではあるのでなんとかしてほしいところである。
◯中盤あたりの襲撃イベントが理不尽級に厳しい
よく当ブログでは襲撃イベントについては否定的な意見を書くことが多いが、necesseもこれに漏れず否定的な意見を書く。
開拓地の発展が進むと、襲撃者が開拓地を攻撃するイベントが発生する。襲撃者は移住NPCを優先的に狙って行動し、こちらの住民を殺そうとしてくるのでそれを守る必要がある。序盤は特に強くなく、数も多くないのだが、ゲームが進むにつれて襲撃者もこちらが使う防具を身に着けて、数を増して襲ってくるため、乗算的に難易度が上昇する。少なくとも真正面から殴り合うのは不可能になるので、防衛設備を付けたいところだが、迷路を作ったとしても襲撃者AIの経路設定次第では壁を破壊してくるので、タワーディフェンスのような防衛は困難。特に、一通りのバイオームを攻略し終えたぐらいの段階では、防具の強さが一回り変わるレベルのものを襲撃者が付けてくるし、こちらは効果的な武器がないまま迎撃する状態になるので、開拓地が甚大な被害を被ることになる。
こちらの住民にも装備をつけて強化することは可能だが、多勢に無勢、プレイヤーが正面切って襲撃者と殴り合いできないように焼け石に水、時間稼ぎ程度の効果しかないため、あまり意味をなしていない。襲撃イベントの対策が難しいこと自体に問題は無いのだが、想定される損害が厳しい(というか面倒くさい)のも嫌らしいところ。住民が死ぬとまた同じ役割の住民を呼ぶ必要があるし、せっかくの設定が1からやり直しになってしまうためである。
一応、ゲームが進んできて、多勢に対応できる貫通武器が揃ってくるとかなり楽になってくるし、最終盤で貫通+強ノックバック武器を手に入れれば、敵を一箇所に集めて攻撃し続けるボーナスモードと化す。また、地下やダンジョンから拾ってきたトラップを利用することで自動迎撃機構を作ることも可能(かなり大変だが。やりこみ要素?)だし、壁越しに攻撃できる武器があれば、何層もの壁や扉で敵をせき止めつつ、壁越しに攻撃し続けるという手はある。
襲撃者に侵入された時の損害の大きさと敵の強さが強烈なところ、システムを利用して正面から対策することが難しい部分に問題があるように思える。例えば、しばらく足止めができる設備があるとか、敵が誘導しやすくなる設備とか、プレイヤーが敵を食い止めて戦いやすい機構があるとか、そういったものがゲーム側に用意されていれば、幾分かマシなイベントになるだろう。necesseにはせっかく住民を活用する仕組みがあるので、襲撃時は住民が指示した櫓の上から射撃するとか、そういった指示ができると面白いとは思うが、ちょっと厳しいか。
つらつらと書いたが、襲撃イベントを攻略して得られるものは小さいので、めんどくさいと思った方はワールド設定から襲撃イベントの頻度を下げるか、いっそのことイベント無しにしてしまった方が良いだろう。

▲ダンジョンの罠を活用すれば…だが数を集めにくくもはややり込みの領域である
◯その他
・初期の移動速度が遅い。ダッシュのないマインクラフトぐらい遅い。一応、最序盤の地下から移動速度アップアクセやスプリントできるようになるアクセが手に入ったりするし、中盤以降は高速で移動できる乗り物も手に入ったりするので、ケアされてはいるのだが……スプリントぐらいは最初からできていても良いだろうとは思った。
●総評
Steamストアページで見える通りのプレイ感である。開拓地で住民に指示を出すシステムはまあまあ面白いが、工場運営系ほどは凝ったものはできないため、そこに期待しすぎてはいけない。全体的にやや大味で、過度に期待できるゲームではないものの、それを考慮してもそれなりの面白さと破格のお手頃価格であるので、友達とそれなりの時間遊べるゲームを欲しがっている場合は、一考の余地があるだろう。この手のゲームではRimWorldが強いと思うが、あれはシングルプレイヤーゲームだしね。
◯無限に広がる世界で島々を冒険できる
世界は一つのエリアに対して島(バイオーム)が一つになっており、そのエリアが東西南北に無数に繋がっているような形で存在している。エリアごとにバイオームが分かれていて、森や雪原、砂漠といったスタンダードなものから、ダンジョンの入り口、海賊基地といったものまで存在する。移動できるエリアは島一つとその地下だけだが、バイオーム違いの島を探して見つける楽しみがある。NPC達が生活する集落が見つかることもあり、その攻略段階では手に入らない貴重なアイテムが手に入ったり、そこに住むNPCを自分の開拓地にスカウトすることも可能。
基本的なゲームの流れとしては、島を見つける→地下に入って探索する→ボスを倒す→異なるバイオームの島へ というシンプルな流れになっている。ボスを倒し、異なるバイオームの探索を進めるに従い、作成できる設備や装備なども増えていくため、発展を進めていく楽しみがある。新たな装備やアクセサリーの特性と、新たな武器を組み合わせて、いろいろ試していくのも面白い。
◯NPC住民を活用した開拓地作成に拘れる
necesseでは、プレイヤーは開拓地の主となり、寝るための部屋はもちろん、林業や農業、牧畜などを営んだり、滞在できる部屋を作り、NPCの住民を移住させることができる。そうして増えた住民を活用して、物を売り買いしたり、プレイヤーの代行として各作業に従事させるのがnecesseの特徴である。シンプルな加工業、林業、農業はほぼすべての住民が行えるが、狩りや釣り、畜産業など特徴的な作業を委託できるのは特定の住民のみなので、前述した世界の仕様も含めて新たな住民を探す楽しみがある。

▲どんな拘りの開拓地を作るかは君次第だ!
◯高いマルチプレイ適性
1つのサーバーで多くのプレイヤーと同時に遊ぶことができる。一つの島から手に入るリソースの量もかなり多く、漁り尽くせば余るほど算出されるので、ある程度の人数なら問題なく遊べるだろう。チーム分けを行い、PVP設定で対戦することもできるようだ。マルチプレイによって、島の開拓を始め、地下探索・素材探しや戦闘はもちろんのこと、特定NPCや特定バイオームを求めて探索することが格段に楽になる。
◯その他良いところ
・2Dゲームなので相当軽い。ある程度の性能があればグラフィック性能がオンボード仕様でも動作できそうだ。
・ワールド作成時の難易度設定に幅が効く。スタンダードな戦闘難易度はもちろん、襲撃頻度の変更や死亡時の動作(素材だけドロップするなど)も変更できる。
●好みが分かれるところ詳細
◯ゲーム進行が早い
一つの島から手に入るリソース量が多いと書いたが、多すぎるとも言える。Valheimは防具をフル強化するために地道なアイテム回収が求められるため、相応の時間がかかるのだが、necesseは地下の探索が1/4エリア分も完了してしまえば、二人分の最新の防具は作成できてしまうほどの量の資源が手に入る。開拓地で使う分のことを考えるともっと必要かもしれないが、バイオームボスに挑戦できるレベルにはすぐに達してしまう。また、バイオームボスと戦闘する条件も、敵からドロップするなどで入手したボス召喚アイテムを使うだけがほぼほぼのパターンであり、新バイオーム到着からボス戦が始まるまで、特定の素材を運ぶなどといった難しい部分は全くない。探索も地下がメインであり、地上を冒険する要素も殆ど無い……
つまり、ゲーム進行・消化速度がかなり早い。筆者のケースでは、開拓地の拡張に時間を掛けたつもりだったし、拠点の真ん中でダイナマイトが爆発して攻略の足止めを食らったりしたが、v021時点の実績コンプ目前まで進めて60時間も掛かっていない。これは、プレイの変化や新しい風を求める人にとっては良いことと感じるが、じっくり遊びたい人にとっては良くないことに感じるかもしれない。後述の要素を見ると、じっくり遊ぶゲームではない傾向には感じられる。
◯やりこみ度は高くない
探索によってレアなアクセサリを入手したり、得た資源を使って装備を作ったりすることはできる。探索で入手した装備やアクセサリにはエンチャントがついていることがあるため、良いエンチャントを厳選して……と期待したくなるが、エンチャントの種類は決まっており、尖ったエンチャントも多いわけではないし、防具やアクセのエンチャントは上昇幅が地味なものが多いため、特に拘る要素がない(拘っても良いが大きく変わるわけではない)。大量の素材が求められる要素もなく、レベル制ゲームのようなスタッツ積み上げ要素もない、各地にドキュメントが散らばっていることもないので、実績解除(全アイテム入手とか)以外でやり込める要素は実のところほぼないのである。せいぜい、開拓地の形に拘ったりする程度であるか。
やりこみ要素の内容にもよるが、ゲームの寿命を長くする効果は間違いなくあると考えているし、特に、この手のゲームジャンルにおいてはやりこみ要素との相性は抜群のように思えるのだが、実績以外に用意されている部分がない。やりこみ要素が存在することを是とするわけではないし、寄り道しなくて済むからやりこみ要素たくさん要らないよといえばそうとも言える。
◯冒険の流れは比較的ワンパターン
前述の通り、ゲームの流れは「島を見つける→地下に入って探索する→ボスを倒す→異なるバイオームの島へ」と書いたが、本当にこれ以外に新しいことは求められない。また例としてValheimを挙げるが、中盤の沼地から狭いダンジョンに入るようになったり、雪山でダウジングして鉱石を掘り当てたり、大海原の航海に出たりといった新しい体験はnecesseには無い。せいぜい採掘に爆弾を使えるようになって楽になったねとか、乗り物が充実して移動が楽になったねとかそのぐらいである。新しいことは求められないのでスムーズと見るか、展開がワンパターンすぎると見るか……人によって評価が分かれるところだろう。
ただし、ボス戦闘は一筋縄ではいかない難易度になっており、ボス毎に攻略も異なってくる。事前にしっかりと準備・対策することが求められるので、そこを考えるのはちょっとした新鮮な体験とも言えるか。
◯その他
・一部の動物の仕様が初見殺し。牛や羊はスポーン数が決まっているので、序盤の段階で開拓地の島の牛や羊が全滅しがち。ただし他の島から連れてこれるので取り返しの付かない要素というわけではない。ご安心を。
・やや昼の時間が短い気がする。
●悪いところ詳細
◯装備の選択幅が狭い
武器と防具については多くの種類が存在するが、いくつかの仕様により、装備の選択幅が狭い状態になってしまっている。
まず武器については、大きく分けて近接武器・遠隔物理武器・魔法武器・召喚武器の4つに分かれている。このうち、召喚武器は自動でついてくるタレットを召喚するようなもので、武器そのものでは攻撃しないため、実質近接・遠隔物理・魔法の3種類になる。序盤はどの武器でも問題なく戦えるのだが、序盤以降のボスは移動力と殺意が高く、近接が殴れるタイミングも少ない、近接の火力もそこまで突飛したものではないという要素から、ハイリスクローリターンな近接武器は必然的に選択肢から外れていく。よって、中盤以降はボスの攻撃を回避しながら遠距離攻撃を行うゲームになってしまう。もちろん、中盤に手に入る雷槌などその時点では他を圧倒する近接武器が無いわけではないが、武器強化などのやりこみ要素はないため、入手してゲームを進めていくと次第にDPSの物足りなさを感じてくる。魔法武器についても、扱いづらいものが多いため、実用性の観点から選択肢として上がってくる魔法武器は限られてくる。
アクセサリについても一応多種多様なものがあるのだが、効果を重複させられず、尖ったアクセサリもないため、終盤までバランス重視(全ダメージUP)に火力orユーティリティを付けていくだけ……のような構成になりがちである。召喚構成の場合も、最大召喚数を増やすアクセサリーをつけることがほぼ前提なので、それも似たような感じになる。
防具についても、1バイオームにつき1~2種類の防具が増えるだけであり、セット効果が強力(なものも多い)ので、基本的にはそれ一式を着込むことになる。セット効果自体は面白いものが多いのだが、防具強化などのやりこみ要素がないため、有用なセット効果の防具も次第に型落ちになっていく。
以上より、序盤を除いては、遠距離武器+最新バイオームの装備セット+バランス重視アクセ+残りアクセになりがちである。武器のパターンそのものは意外に多く、遠隔物理武器や魔法武器のバリエーションは豊富でプレイ感も少し異なってくるので、全く同じ行動しかできないわけではないが、もうちょっと近接武器が日の目を見る環境になっても良いのではないかと思う。
◯住民の指示に小回りが効かない
開拓地に移住したNPCに対して、指示を行うことができるのは前述した通り。NPC毎にエリアを設定し、その中で特定の作業を優先度をつけて行い、特定のアイテムを拾ったら特定のチェストに格納するように……といった具合ではあるが、指示できることはそれだけである。拾ったアイテムを格納しようとしたがチェストがいっぱいだった時は、その場で立ち尽くして何も行動しなくなるのである。つまり、農作物で手が一杯なので他の農作物を取らず棒立ちという幼稚園児未満の現象が発生する。Satisfactoryではアイテムを仕分けして処理場に突っ込むようなルートを設定できるのだが、ゴミを廃棄する設備とか自動売却する設備(どちらもプレイヤーによって手動で行うことはできる)とかそういった仕組みがnecesseにはないし、過剰にアイテムを取るなという指示もできないため、結局はプレイヤーが定期的にゴミ掃除を行うことになる。チェストの優先度設定などもないので、場所Aから取った素材はチェストAに、場所BからはチェストBに……ということも難しい(最寄りのチェストに格納するアルゴリズムかどうかは未確認)。おまけに、NPCの探知範囲には限りがあるため、基準位置から遠すぎる作業場やチェストには行かないなど、蓋を開けてみるとかなり扱いづらいのだ。
まぁ、通常プレイする上ではそこまで大量の資源が必要になるかというとそうではない(やりこみ要素がない)ので、大規模な開拓地を作らない限りは問題ないと思うものの、工場運営系ゲームと違って鼻につく部分ではあるのでなんとかしてほしいところである。
◯中盤あたりの襲撃イベントが理不尽級に厳しい
よく当ブログでは襲撃イベントについては否定的な意見を書くことが多いが、necesseもこれに漏れず否定的な意見を書く。
開拓地の発展が進むと、襲撃者が開拓地を攻撃するイベントが発生する。襲撃者は移住NPCを優先的に狙って行動し、こちらの住民を殺そうとしてくるのでそれを守る必要がある。序盤は特に強くなく、数も多くないのだが、ゲームが進むにつれて襲撃者もこちらが使う防具を身に着けて、数を増して襲ってくるため、乗算的に難易度が上昇する。少なくとも真正面から殴り合うのは不可能になるので、防衛設備を付けたいところだが、迷路を作ったとしても襲撃者AIの経路設定次第では壁を破壊してくるので、タワーディフェンスのような防衛は困難。特に、一通りのバイオームを攻略し終えたぐらいの段階では、防具の強さが一回り変わるレベルのものを襲撃者が付けてくるし、こちらは効果的な武器がないまま迎撃する状態になるので、開拓地が甚大な被害を被ることになる。
こちらの住民にも装備をつけて強化することは可能だが、多勢に無勢、プレイヤーが正面切って襲撃者と殴り合いできないように焼け石に水、時間稼ぎ程度の効果しかないため、あまり意味をなしていない。襲撃イベントの対策が難しいこと自体に問題は無いのだが、想定される損害が厳しい(というか面倒くさい)のも嫌らしいところ。住民が死ぬとまた同じ役割の住民を呼ぶ必要があるし、せっかくの設定が1からやり直しになってしまうためである。
一応、ゲームが進んできて、多勢に対応できる貫通武器が揃ってくるとかなり楽になってくるし、最終盤で貫通+強ノックバック武器を手に入れれば、敵を一箇所に集めて攻撃し続けるボーナスモードと化す。また、地下やダンジョンから拾ってきたトラップを利用することで自動迎撃機構を作ることも可能(かなり大変だが。やりこみ要素?)だし、壁越しに攻撃できる武器があれば、何層もの壁や扉で敵をせき止めつつ、壁越しに攻撃し続けるという手はある。
襲撃者に侵入された時の損害の大きさと敵の強さが強烈なところ、システムを利用して正面から対策することが難しい部分に問題があるように思える。例えば、しばらく足止めができる設備があるとか、敵が誘導しやすくなる設備とか、プレイヤーが敵を食い止めて戦いやすい機構があるとか、そういったものがゲーム側に用意されていれば、幾分かマシなイベントになるだろう。necesseにはせっかく住民を活用する仕組みがあるので、襲撃時は住民が指示した櫓の上から射撃するとか、そういった指示ができると面白いとは思うが、ちょっと厳しいか。
つらつらと書いたが、襲撃イベントを攻略して得られるものは小さいので、めんどくさいと思った方はワールド設定から襲撃イベントの頻度を下げるか、いっそのことイベント無しにしてしまった方が良いだろう。

▲ダンジョンの罠を活用すれば…だが数を集めにくくもはややり込みの領域である
◯その他
・初期の移動速度が遅い。ダッシュのないマインクラフトぐらい遅い。一応、最序盤の地下から移動速度アップアクセやスプリントできるようになるアクセが手に入ったりするし、中盤以降は高速で移動できる乗り物も手に入ったりするので、ケアされてはいるのだが……スプリントぐらいは最初からできていても良いだろうとは思った。
●総評
Steamストアページで見える通りのプレイ感である。開拓地で住民に指示を出すシステムはまあまあ面白いが、工場運営系ほどは凝ったものはできないため、そこに期待しすぎてはいけない。全体的にやや大味で、過度に期待できるゲームではないものの、それを考慮してもそれなりの面白さと破格のお手頃価格であるので、友達とそれなりの時間遊べるゲームを欲しがっている場合は、一考の余地があるだろう。この手のゲームではRimWorldが強いと思うが、あれはシングルプレイヤーゲームだしね。
