【Steam/Xbox】Valheim【オープンワールドクラフトサバイバル】
2023.05.20.Sat.13:44

●レビュー説明
プレイ期間:ミストランドアップデート前ぐらいから
プレイ時間:記事執筆時点で180時間(アプデ前は100時間程度)
プレイ環境:Steam
プレイ人数:1~10人(筆者は2人マルチでプレイ。推奨は3~5人らしい?)
●概要とか特徴
北欧神話のような広大な世界でバイキングとして冒険するオープンワールドクラフトサバイバルゲーム。
サバイバルというよりは、アクション要素やクラフト要素に重きを置いている。
●公式
https://www.valheimgame.com/ja/
●おすすめ度
4.4/5.0
探索や戦闘といったアクションと建築などのクラフトが両立した良ゲー。やや高難易度でマルチプレイ推奨だが、楽しめること間違いなし。
●Pros/Cons
▼良いところ
○プロシージャルマップ生成による広大な世界
ワールド生成時のシード値によってワールドがどのように生成されるかが決定される方式となっている。マインクラフトほど極端に巨大なワールドではないが、容易にマップ全埋めができるようなサイズではない。こちらはマップ(ワールド全体)をゲーム開始直後から確認できるのだが、このValheim世界が如何に広大であるかを思い知らされる。広大な世界で目的のエリアを探すのは骨が折れるが、発見した時の喜びもひとしおといえるだろう。
他にも、ボス祭壇や商人などの重要地点もシード値によって位置が決まっているので、特定シード値がどのようなワールドになっているかを確認できるツールがあったり、各ポイントに行きやすいシード値が公開されていたりする。


▲最初から範囲は見えているが、それでもかなり広い。
○古臭いが味のあるグラフィック
3Dモデルやテクスチャについては、PS1時代を彷彿とさせるような質になっており、古臭いがどこか懐かしい雰囲気を感じさせる。また、ライティングやシェーダーなどについては、こちらは当時基準ではなく新しい技術が使われている。
全体を通して、美麗なグラフィックというよりも、やや昔のゲームの雰囲気を出すにあえてそう作っているものと言えるだろう。

▲設定を上げると光がきれい。
○多彩なバイオームとそれを楽しめるゲーム進行
草原から開始し、森林や雪山などを冒険していくことになる。バイオームによって湧く動物・敵や取得できる素材なども大きく異なり、どれも印象に残る特徴付けとなっている。選り取り見取り、イロドリミドリである。
また、各バイオームにはボスが存在しており、それを倒すことで次のバイオームに進むための足がかりとなるため、ゲームの進行は比較的分かりやすい。後半のバイオームは開始地点から遠くならないと基本は出現しないため、開幕に後半バイオームに足を踏み入れて即死する…みたいなことも少ない。
○硬派なアクション性
スタミナを消費して、ダッシュや攻撃、防御や回避などが行えるシステムになっている。気づかれてない状態で攻撃を加えると追加ダメージが発生したり、仰け反りシステム、パリィによるカウンターなど、シンプルな攻撃・防御の応報ではない。
プレイヤーは複数の敵モブを同時に相手できるほど強くはないため、地形の把握や立ち回りが大事になってくる。もちろん回復アイテムについても存在はしているが、クールダウンが長く、殴られながらも殴って回復薬ガブ飲み…というスタイルは難しい。
総じて、戦闘は慎重な立ち回りが求められるシステムになっており、サバイバルクラフトゲームにありがちな取ってつけたようなものではなく、この部分も楽しむことができる内容になっている。

▲複数体で行動する敵も多く、慎重な戦いが求められる。多勢に無勢。
○癖があるが面白いビルディングシステム。地形も弄れる!
前述の通り、このゲームは建築要素があるのだが、無茶な建築ができるシステムではないタイプとなっている。例えば、斜めの屋根を置き続けてどんどん高く走っていける……といったことはなく、途中で破壊されてしまう。
基準は地面との接地部分から建材によって強度に減衰がかかり、強度が不足すると破壊される仕様となっている。しかし、強度さえあれば建設できるため、強度を意識した建築・素材の選定・土地の選定が必要になっている。ただ、建設物が破壊されても素材はすべて返還される(燭台の燃料など消耗される素材を除く)ため、理想の建物を作るために試行錯誤が行いやすいのは良い点。建築時のスナップ(自動補正)を活用してお手軽に建物を作ることもできるし、壁や床・柱といった建設物も互いに干渉せず設置できることからあえてスナップを切り、かなり拘った建築を行うことも可能である。Youtubeなどでも素晴らしい建築動画がアップロードされているため、気になった方は調べてみよう。
家のシステム部分でも、屋根を正しくつけることで家判定になったり、屋根が低いまま焚き火を起こすと煙で充満して窒息したり、家具を揃えることで休息バフが強化されたりと、妙なこだわりが感じられる。
またこの手のゲームでは珍しく、地形をいじることができる。当然ながら制限はあるが、凸凹の地面を均して農地にしたり、大きく掘り下げてお堀を作り外敵に備えたり、浅瀬を埋め立てて陸地にしたりと、活用できればかなり便利なシステムになっている。これに前述の建築システムがあるので、拘るとそれはもう大変なことになる。

▲いい感じの農地を作ろう。
○拠点を作る楽しみがあるこれGroundedの記事でも書いたな…
ゲームが進行すると、ファストトラベルができるポータルを設置できるようになる。当然世界は広大なので、それがメインの移動手段になるのだが、一部資源(金属資源)はファストトラベルで運搬できないため、それらをうまく活用するにはいくつかのバイオームに拠点を作ることが推奨される。新しいバイオームでは新しい素材が手に入り、それによって新しい建築物などを立てられるようになるため、新素材を活用する楽しみが生まれている。
もちろん、転送不可資源については陸地や船で人力輸送しても良いので、少々大変だが、素材を一箇所に集約する大拠点型にしても良いだろう。前述した建築システムや地形弄りシステムもあり、どのように拘りを見せていくかはプレイする人のスタイル次第と言えるだろう。

▲この拠点では機能性を重視。
○マルチプレイに対応している。というか推奨
以上のように、たくさんの面白そうな要素を書いたのだが、これを複数人で楽しむことが可能である。良さげな立地を求めてみんなでバラバラに世界を探索したり、ある時は集まって洞窟を探索したり、協力して資源を運搬したり、整地から拠点の設営を進めたり…と、マルチプレイによって楽しさが倍増する。マップに立てたマーカーや、マップの探索度合いも共有することができるので、個々の探索が無駄にならないのも良い点。
ちなみに、友人と遊ぶ以外にも、野良ワールドに参加することもできるし、PvP設定をオンにして楽しむこともできるそうだが、そちらは詳しくないためレビューから割愛させていただく。
○その他良いと思ったところ
・この内容で比較的安い。
・ゲーム容量が軽く、1.5GB程度でインストール可能。要求スペックも高くはない。
・当然といえば当然だがゲームパッドに対応している。
▼好みが分かれるところ
○金属資源の取り扱いについて
銅や鉄などの金属資源を持ったままファストトラベルで運搬できない仕様になっているのは前述の通りで、金属資源を一箇所に集める場合、陸続きでない場所にある場合は船を使って少しずつ輸送するほかない。現地で加工すれば良いと思うかもしれないが、装備強化のためには加工所のランクアップが必要であり、それに金属素材を使うこともあるので、拠点間がある程度近い場合を除いて中々難しいところがある。
特に中盤に手に入る鉄は中間素材・装備・建材などいろいろな用途があるものの、最初に見つけた対象エリアだけでは足りないことも多く、多量に要求されることもあり、他エリアの探索と長距離の輸送が必要になってくる場合が殆ど。採掘できる金属資源としては唯一モンスターからのドロップもあるが、確率は高くないため焼け石に水である。さらに、後半に手に入る金属に加工する設備を作るために鉄が必要になったり、強度のある石建築を行うための作業台の作成に鉄が必要になるため、持って帰るにしろ現地に拠点を作るにしろ、金属資源の輸送が求められる。どうしても輸送したくない場合は、遠征先で鉄を手に入れるところから始める他無い。
(最新アップデートの霧の地では、現地で銅や鉄を入手できるようになったため、幾分か解決されている。幾分かだが。)
しかし、とある盤外戦術を取ることで問題なく輸送できてしまうため、実際のところはあまり意味をなさないものになってしまっている点も存在する。雰囲気や想定されたバランスを重視して不便な状態を貫くか、攻略を楽にするかは各々に委ねられるところだろう。ちなみに筆者はルールを守って正しく船で輸送してます。
○水に対して…
・水に対してできることが少ない
地形をいじったり、農業をしたりというシステムはあるが、このゲームでは水に対してのアプローチがあまりない。例えば、水抜きを行ったり、逆にくぼみに水を入れて池にしたりということはできない。水面についても、地形が一定高度以下になった時に地面から現れるだけ、という形になっている。水をバケツで運んで何かに利用したり、水中に潜って水中の素材を集めたり、水中建築をしたりということもできない。さらに、水に体が浸かると濡れデバフが付与され、水に浸かっている間は移動速度が極端に遅くなる。水泳は可能だが潜水はできず速度も出ず、スタミナがなくなれば溺れてダメージを受け始めるので、川を渡るのが精一杯。また、天候によって雨が降ることもあり、木材建築は腐食ダメージを受ける(建物が壊れることはない)ため、それを回避したければ屋根を付けなければならない……といった具合に、主にマイナス方向で作用していることが多い。
しかしながら、地形を弄れるゲームで水も自由に扱えるとなると開発負荷・ゲーム負荷に大きく影響が出そうなところでもあるので、既に割り切っているものだと思われる。仕方のない部分はあるか。
・濡れデバフの存在
前述した濡れデバフだが、内容としては体力回復量減少・スタミナ回復量減少・炎耐性上昇・凍結耐性低下・雷耐性低下の補正が掛かる。また、水に浸かっていない状態で火元の近くに居ることで濡れデバフ時間は高速で消化されていく。特定のバイオームでは雨が降り続けたり(=屋根がなければ常に濡れデバフが付く)、一種のギミックとしての作用もある。
気になるのは、濡れデバフが付与されることに対してプレイヤー側ができる対策がほぼ存在しないという点だろう。確かに、屋根を作ったり、火があれば濡れデバフを消化することはできるが、そもそも付けないようにすることができないのである。冒険中に思わず水に飛び込んでしまって濡れデバフが付与されると、スタミナ回復速度が低下してしまうため、あらゆる行動に影響が出てしまう。火を付けて消すにしろ、無視して進むにしろ、それなりのストレスを感じる。探索中でなく、建築中や農業中に突然雨が降り出す場合もあり、ダッシュや建築物設置、種まきや回収にもスタミナを使うため、同じようにストレスの元になっている。
とは言え、傘を差していたら濡れないようなシステムにするかというとゲーム性や世界観として微妙なところでもあるので、落とし所が難しそうではある。少なくともスタミナ回復量減少は要らない。
○探索は自由だがゲーム進行の自由度は高くない
広大なワールド、多くのバイオームを探索することはできるが、取得できるアイテムやそれで製作できる装備品のステータス、前提道具などの存在から、各バイオームを攻略できる(=ボスを撃破する)順番は決まっている。もしかすると現地素材だけで強力な道具を手に入れたりできる可能性はあるが、期待はできないだろう。
ただしいきなりどこに行っても問題ないというバランスは調整が難しいだろうし、現代のゲームであれば、ある程度の指針があった方がプレイする側としては分かりやすいだろう。つまりはまあ、Valheimが順番に攻略するゲームデザインになっているだけということなので、気になる人は少ないか。
○その他気になるところ
・弓矢が使いづらい。が重要性が高いので使わざるを得ない。
・慣れるまで建築が難しい。最初からちょっと大きな家を作ろうとすると躓くので、少しずつ大きくしよう。
・省スペース、省コストで上り下りする手段が少ない。ハシゴはあるが脚立を半分にしたようなもので、ジャンプで上り下りが必要。代わりにある階段は1平方メートルで0.5メートル分の高さしか稼げないので、高さ2mの2階に行くために4マス分の階段が必要になる。床を壁に付けてジャンプで登るのは効率的だが、見栄えが良くないしたるい。と、うまい方法がない。建築プロの動画を探せばあるかも。
・落下ダメージがめちゃくちゃ痛い。食事をしていない初期HPの場合、2~3Fぐらいの高さから落ちると致命的なダメージになる。リアルか?
・多くの資源が同じ場所でリスポーンせず、ワールド内で有限であること。ワールドから枯渇するほど使い尽くすことはないだろうが、現在のエリアから資源が枯渇した場合は新たなエリアを探す必要がある。
・ストーリーは今のところよく分からない
▼悪いところ
○全体を通して難易度が高い。
多くの要素によって、序盤から終盤まで難易度が高い状態が続く。ある程度安定して冒険したい場合は、装備をちゃんと強化して、性能の良い食事を揃える必要がある。いくつか、難易度が高いと思われる点を列挙する。
・やたらと強い敵が居る
装備の整わない序盤のバイオームで既に高体力・高攻撃力の巨大な敵が出現するなど、プレイヤーを全力で殺しにかかってきている。バイオームを進むごとに敵は強くなっていくので、装備の強化を疎かにしているとあっという間に死が近づく。
また時折、★付きの敵が出現することがある。ステータスが大幅に高くなったエリートモンスターという感じだが、★★の敵については、攻略時に装備している防具をフル強化していても即死されられるレベルだったりと、真正面から戦うのは無謀とも言える補正が掛かっている。さすがにやり過ぎでは?
他にも、序盤のエリアを探索しているつもりが後半のエリアに近づいており、その時点で戦うのはとても厳しい敵に襲われることがある。マップ開拓ををしているところに謎のデカい蚊に襲われ大ダメージを受けて唖然としたプレイヤーも少なくないだろう。モンハンで例えるなら、発見したらまっすぐ正確に飛んできて高威力の攻撃を行うランゴスタ(防具なし・序盤の飯だと即死する)と考えると分かりやすいか。
攻撃されない位置から弓矢で攻撃するなど、慎重に進めたいところだが、時間を掛けていると夜になり、昼よりも強い敵が出るようになるし、食事効果や休息バフも消える……とジレンマに挟まれている。装備をフル強化していても辛いシーンは多々あるので、もしかするとそれが前提のバランスになっている可能性はあるが、やり過ぎな面もちらほら見られる。
これらの点は、マルチプレイをすることによって幾分か解決できる。効果時間5分・リキャスト20分のボスバフを回しやすくなること、役割分担や前衛後衛のスイッチが可能になること、後述のインベントリ問題もある程度解決するなど、プレイ環境も快適になる。敵ステータスにマルチ補正が掛かったり、装備強化の素材も倍掛かってしまうのはあるが。
・デスペナルティがキツイ
死亡するとその場にすべてのアイテムを落とし、スキルレベルが一定割合低下し、リスポーン地点から再開となる。
よほど変なことをしない限りは死亡してそのままアイテムが消滅することはないし、回収できなくなってゲーム進行が詰むことはないが、前述した戦闘の難易度・ステータスの重要性があるため、少なくとも裸でアイテム回収できるようなものではない。デカい蚊に再度殺されるのがオチである。
スキルレベルの低下もかなり辛い。割合低下のため、スキルレベルが上限に近い状態だとかなりの痛手になる。スキルによる補正量自体も決して小さくないものであり、苦労して上げたスキルレベルがワンミスでパーになる感覚は辛いものがある。作業時の落下ダメージで死んだ時も同様。
ただでさえ★付きとの戦いに苦労するというのに、探索した奥地で死亡して落としてしまった時の絶望は計り知れないものがある。
○狭すぎるインベントリ、不便な重量制限
インベントリは8*4の32枠分あるが、剣・盾・弓・矢・各種道具・防具・食料・蜂蜜酒(回復薬)…と持っていくと12から16枠ほどは埋まってしまう。そこから自生している植物や敵のドロップ品、金属鉱石などを拾うとすぐにインベントリが埋まってしまうため、頻繁にアイテム整理を行うことになる。
加えて重量制限が厳しく、最大所持重量が300のところ、前述のフル装備で80近く埋まり、石ころ1つで4、金属鉱石1つで10も使ってしまう。つまり金属鉱石は20個ぐらいしか同時に持てない計算になる。後半の金属鉱石ほどさらに重くなっていく。一応、荷車という存在もあり、それに入れて運ぶこともできるが、荷車の重量が重くなりすぎると動かなくなるなど妙なところでリアル。当然荷車なので川や海を挟んだ遠征には不向きなことも向かい風。救済措置としてメギンギョルズという所持重量を1.5倍(450)にしてくれるアクセサリがあるが……どちらにせよ、拠点と採掘場の往復を余儀なくされることは間違いないだろう。
スキル性にして、冒険を続けていたら所持重量の上限が少しずつ強化されるようになっていても良いかもしれない。ただし仕様としてデスペナが存在するので解決案としてはちょっと難しいところか。
○広大"すぎる"世界
ゲーム開始時は世界の中心から始まり、中心から離れるごとに後半のバイオームが出現するような傾向になっている。商人の位置やダンジョン、ボス祭壇などのランドマークはシード値によってワールドが生成された段階で確定しているので、初めて降り立ったバイオームのエリア内に、ダンジョンが無い・少なかったりすることがある。当然、それはそのバイオームを探索しないと分かり得ないことであるため、ワクワクしながら探索して目当ての物が手に入らずガッカリすることも多々ある。商人の位置については、ワールド毎に決められた特定の複数箇所に近づいた時にその位置が確定するという仕様であり、運良くその場所が近くない限りは、ローラー作戦以外で見つける手段はない(というのは昔の話で、今は改善されたらしい)。商人は攻略に必須ではないものの、前述のメギンギョルズを始め便利な品を多数売っているので早めに見つけたいところ。筆者のワールドでは商人が全く見つからなかったため、コマンドで拠点付近に商人を召喚した。こっちの方が楽かも。
また、ボス祭壇は特定の石碑を調べることで位置がマーキングされるのだが、船が作れるようになる序盤以降はいくつもの島を超えた遠くのボス祭壇をマーキングされることもあり、世はまさに大航海時代!のような事態に陥ることもある。前述の盤外戦術と同様のやり方もあるが、多くの場合、数十分以上の時間掛けて航海することになるだろう。そもそも、多くの土地がいくつかのバイオームを含んだ島単位に分かれていることが多く、望んだバイオームがどこにあるかも分からない手探り状態になってしまっている。この海を超えた先にあるのか、もしくは今の島と陸続きになっているのか、そういう状況すら分からない。次のエリアに進みたいのに全然見つからず、新エリアを求めてひたすら探索・航海の旅が続く場合もある。冒険をする楽しみがあるといえば聞こえは良いが、ゲーム後半での実際のプレイ体験としては望んだバイオームが出るまで島々を淡々と駆け抜けているのが現状である(金属素材を見つけても輸送が手間なので無視して突っ切る)。気長にプレイしたいところだが、人によってはこれを煩わしく感じるだろう。
○ゲーム進行と共に発生する襲撃イベントの存在
この手のゲームにありがちだが、ゲームが進行すると拠点に対して襲撃が発生することがある。敵対したモブはプレイヤーを狙うが、プレイヤーを狙えない時は建築物や他モブを狙うAIになっているため、拠点に対して被害が発生することがある。一応、前述した通り建築物が破壊されても素材は基本的に100%戻ってくるのでまた建て直せば良いのだが(かなりめんどくさいが)、飼いならした動物が倒されてしまうと元には戻らないので、対策が必須となっている。
序盤でできる対策はないが特に強敵もおらず、たとえ建築物が壊されたとしてもすぐに戻せる程度しか立てていないと思うので相応の影響度だが、ゲームが進むにつれて敵の強さが上昇することと、その敵が集団で襲撃を仕掛けてくるようになること、また拠点の規模や重要性も上がってくることから、襲撃イベントの難易度や拠点への影響度は乗算的に上昇することになる。特に、スタミナ重視の食事を取って農作業をしている間に襲撃イベントが発生した場合は死が見える。
そもそも、襲撃発生のタイミングも予兆されないため、こちらが運良く整っているタイミングで発生しない限りはどうしても不意をつかれる形になってしまう。プレイヤーの建築物が近くにあることが基本的な発生条件とされているが、それも数個程度あれば発生するらしいため、ほぼ前提条件として機能していない。よって、襲撃されると困るような拠点はあまり作らない方が良く、もし拠点を作る場合は襲撃まで想定したしっかりとしたものを作らざるを得ない状態になってしまっていると言えるだろう。逆に言えば、時間を掛ければ解決できる問題とも言える。ただし敵は拠点の完成を待ってくれないので注意すべし。
このように不満の多い襲撃イベントだが、そのバイオームでは手に入らない素材を落としてくれるという数少ないメリットは享受できる。Groundedのように意図的に素材量が減らされていることもないため、ちゃんと倒していけばそれなりに美味しい。敵を湧かさない襲撃対策をするとそのメリットも無くなるのだが。
●総評
探索や冒険要素とクラフト要素が良く噛み合っている良ゲーである。難易度の高さや、インベントリ・重量問題など鼻につく部分もあるものの、それらは時間を掛けて取り組むことで解決できることが多く、サバイバルクラフトオープンワールドという長く遊びたいジャンルとマッチした仕様になっているとも言える。
そして、やはりマルチプレイ推奨であり、友達や知り合いと遊ぶことでより快適に、より面白くプレイできる。足並みを揃えてプレイする必要はあるが、仲の良いグループでぜひ遊んでいただきたい。
▼良いところ
○プロシージャルマップ生成による広大な世界
ワールド生成時のシード値によってワールドがどのように生成されるかが決定される方式となっている。マインクラフトほど極端に巨大なワールドではないが、容易にマップ全埋めができるようなサイズではない。こちらはマップ(ワールド全体)をゲーム開始直後から確認できるのだが、このValheim世界が如何に広大であるかを思い知らされる。広大な世界で目的のエリアを探すのは骨が折れるが、発見した時の喜びもひとしおといえるだろう。
他にも、ボス祭壇や商人などの重要地点もシード値によって位置が決まっているので、特定シード値がどのようなワールドになっているかを確認できるツールがあったり、各ポイントに行きやすいシード値が公開されていたりする。


▲最初から範囲は見えているが、それでもかなり広い。
○古臭いが味のあるグラフィック
3Dモデルやテクスチャについては、PS1時代を彷彿とさせるような質になっており、古臭いがどこか懐かしい雰囲気を感じさせる。また、ライティングやシェーダーなどについては、こちらは当時基準ではなく新しい技術が使われている。
全体を通して、美麗なグラフィックというよりも、やや昔のゲームの雰囲気を出すにあえてそう作っているものと言えるだろう。

▲設定を上げると光がきれい。
○多彩なバイオームとそれを楽しめるゲーム進行
草原から開始し、森林や雪山などを冒険していくことになる。バイオームによって湧く動物・敵や取得できる素材なども大きく異なり、どれも印象に残る特徴付けとなっている。選り取り見取り、イロドリミドリである。
また、各バイオームにはボスが存在しており、それを倒すことで次のバイオームに進むための足がかりとなるため、ゲームの進行は比較的分かりやすい。後半のバイオームは開始地点から遠くならないと基本は出現しないため、開幕に後半バイオームに足を踏み入れて即死する…みたいなことも少ない。
○硬派なアクション性
スタミナを消費して、ダッシュや攻撃、防御や回避などが行えるシステムになっている。気づかれてない状態で攻撃を加えると追加ダメージが発生したり、仰け反りシステム、パリィによるカウンターなど、シンプルな攻撃・防御の応報ではない。
プレイヤーは複数の敵モブを同時に相手できるほど強くはないため、地形の把握や立ち回りが大事になってくる。もちろん回復アイテムについても存在はしているが、クールダウンが長く、殴られながらも殴って回復薬ガブ飲み…というスタイルは難しい。
総じて、戦闘は慎重な立ち回りが求められるシステムになっており、サバイバルクラフトゲームにありがちな取ってつけたようなものではなく、この部分も楽しむことができる内容になっている。

▲複数体で行動する敵も多く、慎重な戦いが求められる。多勢に無勢。
○癖があるが面白いビルディングシステム。地形も弄れる!
前述の通り、このゲームは建築要素があるのだが、無茶な建築ができるシステムではないタイプとなっている。例えば、斜めの屋根を置き続けてどんどん高く走っていける……といったことはなく、途中で破壊されてしまう。
基準は地面との接地部分から建材によって強度に減衰がかかり、強度が不足すると破壊される仕様となっている。しかし、強度さえあれば建設できるため、強度を意識した建築・素材の選定・土地の選定が必要になっている。ただ、建設物が破壊されても素材はすべて返還される(燭台の燃料など消耗される素材を除く)ため、理想の建物を作るために試行錯誤が行いやすいのは良い点。建築時のスナップ(自動補正)を活用してお手軽に建物を作ることもできるし、壁や床・柱といった建設物も互いに干渉せず設置できることからあえてスナップを切り、かなり拘った建築を行うことも可能である。Youtubeなどでも素晴らしい建築動画がアップロードされているため、気になった方は調べてみよう。
家のシステム部分でも、屋根を正しくつけることで家判定になったり、屋根が低いまま焚き火を起こすと煙で充満して窒息したり、家具を揃えることで休息バフが強化されたりと、妙なこだわりが感じられる。
またこの手のゲームでは珍しく、地形をいじることができる。当然ながら制限はあるが、凸凹の地面を均して農地にしたり、大きく掘り下げてお堀を作り外敵に備えたり、浅瀬を埋め立てて陸地にしたりと、活用できればかなり便利なシステムになっている。これに前述の建築システムがあるので、拘るとそれはもう大変なことになる。

▲いい感じの農地を作ろう。
○拠点を作る楽しみがある
ゲームが進行すると、ファストトラベルができるポータルを設置できるようになる。当然世界は広大なので、それがメインの移動手段になるのだが、一部資源(金属資源)はファストトラベルで運搬できないため、それらをうまく活用するにはいくつかのバイオームに拠点を作ることが推奨される。新しいバイオームでは新しい素材が手に入り、それによって新しい建築物などを立てられるようになるため、新素材を活用する楽しみが生まれている。
もちろん、転送不可資源については陸地や船で人力輸送しても良いので、少々大変だが、素材を一箇所に集約する大拠点型にしても良いだろう。前述した建築システムや地形弄りシステムもあり、どのように拘りを見せていくかはプレイする人のスタイル次第と言えるだろう。

▲この拠点では機能性を重視。
○マルチプレイに対応している。というか推奨
以上のように、たくさんの面白そうな要素を書いたのだが、これを複数人で楽しむことが可能である。良さげな立地を求めてみんなでバラバラに世界を探索したり、ある時は集まって洞窟を探索したり、協力して資源を運搬したり、整地から拠点の設営を進めたり…と、マルチプレイによって楽しさが倍増する。マップに立てたマーカーや、マップの探索度合いも共有することができるので、個々の探索が無駄にならないのも良い点。
ちなみに、友人と遊ぶ以外にも、野良ワールドに参加することもできるし、PvP設定をオンにして楽しむこともできるそうだが、そちらは詳しくないためレビューから割愛させていただく。
○その他良いと思ったところ
・この内容で比較的安い。
・ゲーム容量が軽く、1.5GB程度でインストール可能。要求スペックも高くはない。
・当然といえば当然だがゲームパッドに対応している。
▼好みが分かれるところ
○金属資源の取り扱いについて
銅や鉄などの金属資源を持ったままファストトラベルで運搬できない仕様になっているのは前述の通りで、金属資源を一箇所に集める場合、陸続きでない場所にある場合は船を使って少しずつ輸送するほかない。現地で加工すれば良いと思うかもしれないが、装備強化のためには加工所のランクアップが必要であり、それに金属素材を使うこともあるので、拠点間がある程度近い場合を除いて中々難しいところがある。
特に中盤に手に入る鉄は中間素材・装備・建材などいろいろな用途があるものの、最初に見つけた対象エリアだけでは足りないことも多く、多量に要求されることもあり、他エリアの探索と長距離の輸送が必要になってくる場合が殆ど。採掘できる金属資源としては唯一モンスターからのドロップもあるが、確率は高くないため焼け石に水である。さらに、後半に手に入る金属に加工する設備を作るために鉄が必要になったり、強度のある石建築を行うための作業台の作成に鉄が必要になるため、持って帰るにしろ現地に拠点を作るにしろ、金属資源の輸送が求められる。どうしても輸送したくない場合は、遠征先で鉄を手に入れるところから始める他無い。
(最新アップデートの霧の地では、現地で銅や鉄を入手できるようになったため、幾分か解決されている。幾分かだが。)
しかし、とある盤外戦術を取ることで問題なく輸送できてしまうため、実際のところはあまり意味をなさないものになってしまっている点も存在する。雰囲気や想定されたバランスを重視して不便な状態を貫くか、攻略を楽にするかは各々に委ねられるところだろう。ちなみに筆者はルールを守って正しく船で輸送してます。
○水に対して…
・水に対してできることが少ない
地形をいじったり、農業をしたりというシステムはあるが、このゲームでは水に対してのアプローチがあまりない。例えば、水抜きを行ったり、逆にくぼみに水を入れて池にしたりということはできない。水面についても、地形が一定高度以下になった時に地面から現れるだけ、という形になっている。水をバケツで運んで何かに利用したり、水中に潜って水中の素材を集めたり、水中建築をしたりということもできない。さらに、水に体が浸かると濡れデバフが付与され、水に浸かっている間は移動速度が極端に遅くなる。水泳は可能だが潜水はできず速度も出ず、スタミナがなくなれば溺れてダメージを受け始めるので、川を渡るのが精一杯。また、天候によって雨が降ることもあり、木材建築は腐食ダメージを受ける(建物が壊れることはない)ため、それを回避したければ屋根を付けなければならない……といった具合に、主にマイナス方向で作用していることが多い。
しかしながら、地形を弄れるゲームで水も自由に扱えるとなると開発負荷・ゲーム負荷に大きく影響が出そうなところでもあるので、既に割り切っているものだと思われる。仕方のない部分はあるか。
・濡れデバフの存在
前述した濡れデバフだが、内容としては体力回復量減少・スタミナ回復量減少・炎耐性上昇・凍結耐性低下・雷耐性低下の補正が掛かる。また、水に浸かっていない状態で火元の近くに居ることで濡れデバフ時間は高速で消化されていく。特定のバイオームでは雨が降り続けたり(=屋根がなければ常に濡れデバフが付く)、一種のギミックとしての作用もある。
気になるのは、濡れデバフが付与されることに対してプレイヤー側ができる対策がほぼ存在しないという点だろう。確かに、屋根を作ったり、火があれば濡れデバフを消化することはできるが、そもそも付けないようにすることができないのである。冒険中に思わず水に飛び込んでしまって濡れデバフが付与されると、スタミナ回復速度が低下してしまうため、あらゆる行動に影響が出てしまう。火を付けて消すにしろ、無視して進むにしろ、それなりのストレスを感じる。探索中でなく、建築中や農業中に突然雨が降り出す場合もあり、ダッシュや建築物設置、種まきや回収にもスタミナを使うため、同じようにストレスの元になっている。
とは言え、傘を差していたら濡れないようなシステムにするかというとゲーム性や世界観として微妙なところでもあるので、落とし所が難しそうではある。少なくともスタミナ回復量減少は要らない。
○探索は自由だがゲーム進行の自由度は高くない
広大なワールド、多くのバイオームを探索することはできるが、取得できるアイテムやそれで製作できる装備品のステータス、前提道具などの存在から、各バイオームを攻略できる(=ボスを撃破する)順番は決まっている。もしかすると現地素材だけで強力な道具を手に入れたりできる可能性はあるが、期待はできないだろう。
ただしいきなりどこに行っても問題ないというバランスは調整が難しいだろうし、現代のゲームであれば、ある程度の指針があった方がプレイする側としては分かりやすいだろう。つまりはまあ、Valheimが順番に攻略するゲームデザインになっているだけということなので、気になる人は少ないか。
○その他気になるところ
・弓矢が使いづらい。が重要性が高いので使わざるを得ない。
・慣れるまで建築が難しい。最初からちょっと大きな家を作ろうとすると躓くので、少しずつ大きくしよう。
・省スペース、省コストで上り下りする手段が少ない。ハシゴはあるが脚立を半分にしたようなもので、ジャンプで上り下りが必要。代わりにある階段は1平方メートルで0.5メートル分の高さしか稼げないので、高さ2mの2階に行くために4マス分の階段が必要になる。床を壁に付けてジャンプで登るのは効率的だが、見栄えが良くないしたるい。と、うまい方法がない。建築プロの動画を探せばあるかも。
・落下ダメージがめちゃくちゃ痛い。食事をしていない初期HPの場合、2~3Fぐらいの高さから落ちると致命的なダメージになる。リアルか?
・多くの資源が同じ場所でリスポーンせず、ワールド内で有限であること。ワールドから枯渇するほど使い尽くすことはないだろうが、現在のエリアから資源が枯渇した場合は新たなエリアを探す必要がある。
・ストーリーは今のところよく分からない
▼悪いところ
○全体を通して難易度が高い。
多くの要素によって、序盤から終盤まで難易度が高い状態が続く。ある程度安定して冒険したい場合は、装備をちゃんと強化して、性能の良い食事を揃える必要がある。いくつか、難易度が高いと思われる点を列挙する。
・やたらと強い敵が居る
装備の整わない序盤のバイオームで既に高体力・高攻撃力の巨大な敵が出現するなど、プレイヤーを全力で殺しにかかってきている。バイオームを進むごとに敵は強くなっていくので、装備の強化を疎かにしているとあっという間に死が近づく。
また時折、★付きの敵が出現することがある。ステータスが大幅に高くなったエリートモンスターという感じだが、★★の敵については、攻略時に装備している防具をフル強化していても即死されられるレベルだったりと、真正面から戦うのは無謀とも言える補正が掛かっている。さすがにやり過ぎでは?
他にも、序盤のエリアを探索しているつもりが後半のエリアに近づいており、その時点で戦うのはとても厳しい敵に襲われることがある。マップ開拓ををしているところに謎のデカい蚊に襲われ大ダメージを受けて唖然としたプレイヤーも少なくないだろう。モンハンで例えるなら、発見したらまっすぐ正確に飛んできて高威力の攻撃を行うランゴスタ(防具なし・序盤の飯だと即死する)と考えると分かりやすいか。
攻撃されない位置から弓矢で攻撃するなど、慎重に進めたいところだが、時間を掛けていると夜になり、昼よりも強い敵が出るようになるし、食事効果や休息バフも消える……とジレンマに挟まれている。装備をフル強化していても辛いシーンは多々あるので、もしかするとそれが前提のバランスになっている可能性はあるが、やり過ぎな面もちらほら見られる。
これらの点は、マルチプレイをすることによって幾分か解決できる。効果時間5分・リキャスト20分のボスバフを回しやすくなること、役割分担や前衛後衛のスイッチが可能になること、後述のインベントリ問題もある程度解決するなど、プレイ環境も快適になる。敵ステータスにマルチ補正が掛かったり、装備強化の素材も倍掛かってしまうのはあるが。
・デスペナルティがキツイ
死亡するとその場にすべてのアイテムを落とし、スキルレベルが一定割合低下し、リスポーン地点から再開となる。
よほど変なことをしない限りは死亡してそのままアイテムが消滅することはないし、回収できなくなってゲーム進行が詰むことはないが、前述した戦闘の難易度・ステータスの重要性があるため、少なくとも裸でアイテム回収できるようなものではない。デカい蚊に再度殺されるのがオチである。
スキルレベルの低下もかなり辛い。割合低下のため、スキルレベルが上限に近い状態だとかなりの痛手になる。スキルによる補正量自体も決して小さくないものであり、苦労して上げたスキルレベルがワンミスでパーになる感覚は辛いものがある。作業時の落下ダメージで死んだ時も同様。
ただでさえ★付きとの戦いに苦労するというのに、探索した奥地で死亡して落としてしまった時の絶望は計り知れないものがある。
○狭すぎるインベントリ、不便な重量制限
インベントリは8*4の32枠分あるが、剣・盾・弓・矢・各種道具・防具・食料・蜂蜜酒(回復薬)…と持っていくと12から16枠ほどは埋まってしまう。そこから自生している植物や敵のドロップ品、金属鉱石などを拾うとすぐにインベントリが埋まってしまうため、頻繁にアイテム整理を行うことになる。
加えて重量制限が厳しく、最大所持重量が300のところ、前述のフル装備で80近く埋まり、石ころ1つで4、金属鉱石1つで10も使ってしまう。つまり金属鉱石は20個ぐらいしか同時に持てない計算になる。後半の金属鉱石ほどさらに重くなっていく。一応、荷車という存在もあり、それに入れて運ぶこともできるが、荷車の重量が重くなりすぎると動かなくなるなど妙なところでリアル。当然荷車なので川や海を挟んだ遠征には不向きなことも向かい風。救済措置としてメギンギョルズという所持重量を1.5倍(450)にしてくれるアクセサリがあるが……どちらにせよ、拠点と採掘場の往復を余儀なくされることは間違いないだろう。
スキル性にして、冒険を続けていたら所持重量の上限が少しずつ強化されるようになっていても良いかもしれない。ただし仕様としてデスペナが存在するので解決案としてはちょっと難しいところか。
○広大"すぎる"世界
ゲーム開始時は世界の中心から始まり、中心から離れるごとに後半のバイオームが出現するような傾向になっている。商人の位置やダンジョン、ボス祭壇などのランドマークはシード値によってワールドが生成された段階で確定しているので、初めて降り立ったバイオームのエリア内に、ダンジョンが無い・少なかったりすることがある。当然、それはそのバイオームを探索しないと分かり得ないことであるため、ワクワクしながら探索して目当ての物が手に入らずガッカリすることも多々ある。商人の位置については、ワールド毎に決められた特定の複数箇所に近づいた時にその位置が確定するという仕様であり、運良くその場所が近くない限りは、ローラー作戦以外で見つける手段はない(というのは昔の話で、今は改善されたらしい)。商人は攻略に必須ではないものの、前述のメギンギョルズを始め便利な品を多数売っているので早めに見つけたいところ。筆者のワールドでは商人が全く見つからなかったため、コマンドで拠点付近に商人を召喚した。こっちの方が楽かも。
また、ボス祭壇は特定の石碑を調べることで位置がマーキングされるのだが、船が作れるようになる序盤以降はいくつもの島を超えた遠くのボス祭壇をマーキングされることもあり、世はまさに大航海時代!のような事態に陥ることもある。前述の盤外戦術と同様のやり方もあるが、多くの場合、数十分以上の時間掛けて航海することになるだろう。そもそも、多くの土地がいくつかのバイオームを含んだ島単位に分かれていることが多く、望んだバイオームがどこにあるかも分からない手探り状態になってしまっている。この海を超えた先にあるのか、もしくは今の島と陸続きになっているのか、そういう状況すら分からない。次のエリアに進みたいのに全然見つからず、新エリアを求めてひたすら探索・航海の旅が続く場合もある。冒険をする楽しみがあるといえば聞こえは良いが、ゲーム後半での実際のプレイ体験としては望んだバイオームが出るまで島々を淡々と駆け抜けているのが現状である(金属素材を見つけても輸送が手間なので無視して突っ切る)。気長にプレイしたいところだが、人によってはこれを煩わしく感じるだろう。
○ゲーム進行と共に発生する襲撃イベントの存在
この手のゲームにありがちだが、ゲームが進行すると拠点に対して襲撃が発生することがある。敵対したモブはプレイヤーを狙うが、プレイヤーを狙えない時は建築物や他モブを狙うAIになっているため、拠点に対して被害が発生することがある。一応、前述した通り建築物が破壊されても素材は基本的に100%戻ってくるのでまた建て直せば良いのだが(かなりめんどくさいが)、飼いならした動物が倒されてしまうと元には戻らないので、対策が必須となっている。
序盤でできる対策はないが特に強敵もおらず、たとえ建築物が壊されたとしてもすぐに戻せる程度しか立てていないと思うので相応の影響度だが、ゲームが進むにつれて敵の強さが上昇することと、その敵が集団で襲撃を仕掛けてくるようになること、また拠点の規模や重要性も上がってくることから、襲撃イベントの難易度や拠点への影響度は乗算的に上昇することになる。特に、スタミナ重視の食事を取って農作業をしている間に襲撃イベントが発生した場合は死が見える。
そもそも、襲撃発生のタイミングも予兆されないため、こちらが運良く整っているタイミングで発生しない限りはどうしても不意をつかれる形になってしまう。プレイヤーの建築物が近くにあることが基本的な発生条件とされているが、それも数個程度あれば発生するらしいため、ほぼ前提条件として機能していない。よって、襲撃されると困るような拠点はあまり作らない方が良く、もし拠点を作る場合は襲撃まで想定したしっかりとしたものを作らざるを得ない状態になってしまっていると言えるだろう。逆に言えば、時間を掛ければ解決できる問題とも言える。ただし敵は拠点の完成を待ってくれないので注意すべし。
このように不満の多い襲撃イベントだが、そのバイオームでは手に入らない素材を落としてくれるという数少ないメリットは享受できる。Groundedのように意図的に素材量が減らされていることもないため、ちゃんと倒していけばそれなりに美味しい。
●総評
探索や冒険要素とクラフト要素が良く噛み合っている良ゲーである。難易度の高さや、インベントリ・重量問題など鼻につく部分もあるものの、それらは時間を掛けて取り組むことで解決できることが多く、サバイバルクラフトオープンワールドという長く遊びたいジャンルとマッチした仕様になっているとも言える。
そして、やはりマルチプレイ推奨であり、友達や知り合いと遊ぶことでより快適に、より面白くプレイできる。足並みを揃えてプレイする必要はあるが、仲の良いグループでぜひ遊んでいただきたい。
