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【Xbox/Steam】Grounded【オープンワールドサバイバルクラフト】


2022.12.01.Thu.01:12
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●レビュー説明
プレイ期間:ストーリークリアまで
プレイ時間:90時間ほど(早期アクセス版からプレイ)
プレイ環境:XboxPC(Steamでもプレイ可)
プレイ人数:1~4人(筆者は2人でプレイ)

●概要とか特徴
小さくなった体で家の裏庭を探索する、オープンワールドサバイバルクラフト。

●公式
https://grounded.obsidian.net/(英語)

●おすすめ度とまとめ
4.2/5.0

アリそうでなかった感じで手堅い出来の裏庭サバイバルクラフトゲーム。
ソロは辛そう。昆虫が苦手な人もキツイ。日本語の攻略情報も不足。

※本文内の画像には虫要素はありません。
●Pros/Cons
 ▼良いところ
 ○身近な昆虫や植物による臨場感

 ゾウムシ、アブラムシなどの友好昆虫に始まり、アリやミツバチといった中立昆虫、ヤゴやクモ、カメムシといった敵対昆虫まで裏庭には闊歩している。ヒトから見ると小さな昆虫たちが、このゲームでは非常に大きく、そして驚異の存在となっている。昆虫キモォス!!大きいねえ!!これら身近な昆虫を倒し、得た素材によってまだ見ぬ新たな装備や道具を作り拠点を建てていくのは新鮮な面白さを感じる。
 植物についても、あまり多種のものが存在するわけではないが、タンポポの種をパラシュート代わりに使ったり、やたらとデカいドングリをハンマーで叩き割ったりと、これまた他のゲームでは味わえない体験ができる。
 サバイバルクラフトゲームであり、かつ等身大の世界観ではないことが斬新な組み合わせになっていると言えるだろう。
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 ▲一見ただの裏庭だが、小人でここを走り回るので・・・
 

 ○意外と面白い戦術性
 昆虫との戦闘は避けて通れないが、彼らを調査することで昆虫達には弱点と耐性があることが分かる。例えば、序盤から登場する赤アリは刺突に弱く、序盤の戦車とも言えるテントウムシは打撃に弱かったりする。同じように耐性を持っている敵も居るため、相手によって正しく武器を使い分けることで効率良く戦闘を進められる。
 また、やりこみ要素の部分でも記載するが、ミューテーションというシステムが存在する。いわゆるパッシブアビリティのようなもので、これを付け替えることによって、体力・スタミナを高めたり、移動速度を上げたり、特定武器を使った時の特殊効果を得たりなど、ある程度の自由度が提供されている。
 状況にあった装備やミューテーションの組み合わせを考えて攻略する楽しみがある。
 

 ○拠点建築の楽しみ
 行動範囲が広がることと、建材が増えることで、いろいろな拠点を作る楽しみが生まれる。……というのは良く言ってのことで、いろいろな問題点も存在している。それは後述。
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 ▲自分だけの最強拠点を作ろう(?)
 

 ○やりこみ要素
 基本はストーリー進行に従って進めていくことになるが、寄り道してダンジョンを攻略することでも新たな製作物や建築ができるようになるため、各地を探索する楽しみがある。ストーリー展開が行われるメインダンジョン以外のサブダンジョンは明確にマップに表示されているため、攻略の目星がつけやすい。
 また、ミルクモーラー・メガミルクモーラーというシステムがある。大きな歯のような形をしたオブジェクトでありマップの至る所に隠すように配置されている。これを破壊することでHPやスタミナ、飢え渇き速度低下など、基礎ステータスを強化することができるため、こちらもマップをくまなく探す楽しみが生まれている。ミルクモーラー自体の目視はできているものの中々変な位置に置いてあったりするため、うまい行き方を考えるのも面白い(大体は足場置きで解決するのだが)
 そして前述の通り、ミューテーションというシステムが存在する。こちらは特定の敵を倒したり、特定の地点に到達することで獲得することができる。上記のミルクモーラーで、ミューテーションの装備数を増やすことも可能。これらのやりこみにより、探索や戦闘をより楽にすることができる。
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 ▲至る所に隠されている。
 

 ○ある程度のストーリー性がある
 メインダンジョンを進めていくことで、どうして小さい体になっているのか、裏庭がこのような状態になっているかといった謎が判明していくようになっている。やや変な評価の仕方だが、サバイバルクラフトに重きを置いてストーリー性が無いゲームも多かったり、そもそもこのゲームの早期アクセス版ではほとんどストーリーが存在しなかったため(フレーバーテキストのようなものはあったが)当該項目の評価をさせていただくことにした。
 ちなみにささやかながらマルチエンディングが採用されている。
 
 
 ○その他良いと思ったところ
・良好な操作感。移動速度を上げて走り回るのは中々面白い。
・TPS/FPSの切り替えがいつでも可能なところ。FPS視点は結構揺れるので酔いやすいが。
・製作の際は、近場のチェストであれば取り出さずとも加工できる。(めっちゃ便利)
・構造的に無茶な建築が効くところ(カスタムモードでは無茶な建築ができなくなる設定ががあるらしい)
・クモ恐怖症対応モードがあり、設定を変更することでクモのモデリングレベルを落とす事が可能。猫の画像に変わるものではないので安心だ(?)
 
 
 ▼好みが分かれるところ
 ○戦闘は割りとシンプル

 戦術性に対して一定の評価を下したが、実際の戦闘においてはできることはあまり多くない。左クリックを短押しで連打が効く弱攻撃を出すか、長押しでタメ強攻撃を出すか、右クリックでガードするか……以上。一応、タイミングよくガードをする(ジャスガ)ことで攻撃してきた相手をひるませることができる。敵の攻撃の誘導性が地味に高いところと、ローリングのような回避行動がないところ、盾が無い時のガードの軽減量は知れていることなどもあり、基本は移動回避に頼らずジャスガを狙っていくことになる。また、攻撃についても、よく遭遇する程度のザコ敵ならともかく、強敵や後半の敵などはタメ強攻撃を狙う余裕やメリットがないため、弱攻撃でひたすら殴っていく形が主流である。よって、戦闘の選択肢としては、「攻撃を見てジャスガしてひるんだ隙に弱攻撃でひたすら殴る」「弓矢で近づかれる前に倒す・地形ハメして倒す」ぐらいしかない。敵の攻撃を見切ってジャスガする楽しさはあるが、それを差し置いてもやや単調と言わざるを得ない。


 ○強めのホラー感
 Steamタグにも記載しているが、思っているよりもホラー要素が強い。素材を回収すると緑色の血を吹き出しながら四肢が飛び散る様子は初見はビビる(プレイヤーは飛び散ったりしないのでそこは安心)。序盤の強敵コモリグモの鳴き声にビビりながら夜を過ごしたり、各地に存在する人骨や、ストーリーを進めていく上で分かる内容など、ある程度意図したホラー要素は含まれている。ともかく、昆虫に対する耐性があれば目立ったホラー要素ではないが、人によっては気が気じゃなくなるだろう。


 ○移動が大変
 フィールドサイズとしてはオープンワールドというほど広くはないのだが、道なき道を走るためどうしても移動が大変になる。序盤で得られる高速移動手段は移動速度アップ靴と移動速度アップミューテーションしかなく、行きたい場所へひたすら走らされることになるし、帰り道は暗い道をまた走らされることになる。怖い。
 中盤以降はワイヤーを設営することによって高速移動できるようになるが、高いところから低いところにしか降りれないことと、後半エリアは高いところに位置すること、ワイヤーを設置する拠点も作らなければならないこと、そもそも自然に生えている草や花に妨害されてうまく進めない……などの問題もあり、面倒くさい。(アップデートでワイヤーを逆走できるようになるとかいう話はあるらしい)
 
 
 ○生態系が気になる?
 前述したように序盤の強敵のコモリグモだが、後半に登場するダンゴムシに誘導しタイマンさせると一方的にダンゴムシが勝利する。一般的にダンゴムシは捕食される側では……?自分は昆虫には詳しくないし、まあゲームなのでそういうものと割り切れるので特段気にならないが、気になる人は気になるかもしれない。
 
 
 ▼良くないところ
 (主に早期アクセス版で体感した部分が多いので、正式版では違っている・修正済の可能性があります)
 
 ○難易度は高い(特に序盤)
 前述したように序盤の強敵コモリグモについて。夜行性ということなので昼間は特定の箇所で寝ている上、深夜にならないと徘徊を始めないのだが、6時より前の早朝にも徘徊していることがある。(ゲーム内では8時間睡眠なので、22時就寝でも6時に起きる)コモリグモはプレイヤーを感知した地点をゆっくりと探索しにくるアルゴリズムのため、壁一枚の向こうにいてどうしようもない状態になったりする。感知範囲も広く、序盤に建てられる壁が貧弱なこともあり、建物ごと貪り食われたプレイヤーも少なくはないだろう。
 序盤の倒すべき敵として存在しているが、当然ながら戦闘においても驚異的で、高い攻撃力・機敏な動き・毒付与(解毒方法は時間経過しかない)・比較的高いHPと、序盤の敵対昆虫のヤゴ・コガネグモ程度とは比較にならない強さを誇っている。少なくとも防具が無い状況での戦闘は自殺行為である。行動パターンを見切り、ジャスガを狙うことで比較的楽に対処できるが、序盤のプレイヤーに求めて良い行動ではないだろう。他にも序盤の強敵として、弱点の弓矢が無いと臭いで押しつぶされるカメムシ(ゲーム開始地点を出てちょっと進むと遭遇する可能性あり)や、中立だが硬い・遅い・強いのテントウムシなどが挙げられるか。というか、コモリグモ以上の強さの敵が出るのがストーリー後半なので、そんな敵をリスポーン地点付近を徘徊するようにしないで欲しい。幸いにして、多くの敵は建築物を囮にしたり高所からの地形ハメができるため、弓矢で排除できるケースが多いことは救いか。ただし正式版になって多少の地形は乗り越えてくるようになった。
 そんなこんなで、ろくな装備も無く強化もできない慣れない序盤が特に辛く、慣れてくる・装備が整ってくる中盤以降はそれほどでもなくなってくる(とはいえ油断していると死ぬが)ような難易度曲線になっているように感じられた。
 
 
 ○やりこみ要素と相反する不親切さ
 良いところにやりこみ要素として幾つか挙げさせていただいた。やりこみ要素があることはメリットだが、逆説的に言えばやり込まないと辛いところがデメリットとして挙げられる。サブダンジョンの攻略を行わずとも攻略に影響はないが、消耗品の性能が低いまま進まなければならなかったり、回復アイテムの持てる数が少ない状態で進めなければならなかったりする。さらにサブダンジョンを攻略して最後に宝箱を開ける必要があるケースもあり、その宝箱を開ける鍵についてはノーヒントで探さなければならない・・・というパターンもあり、骨が折れる。新しい要素を開放するためには必須である。
 ミルクモーラーも、普通に遊んでいるだけでは中々見つからない。ミルクモーラーに近づくと音が鳴る仕組みもあるが、それが解禁できるのは中盤も終わり頃に近づいたあたりである。その機能の開放には当然サブダンジョンを攻略しなければならないし、そのサブダンジョンの最後の宝箱を開ける鍵をノーヒントで探さなければならない。流石に辛すぎる。序盤の強化分はミルクモーラーの消費が少なく、強化幅も大きいのは救いか。
 ミューテーションも、どのランドマークを発見して開放されるか、どの敵を何体倒したら開放されるかは不明なため、こちらもノーヒントで(以下略) 前述の強敵コモリグモの毒攻撃は、毒耐性を上げるミューテーションで対応できるが、このミューテーションを獲得する・強化するためにはコモリグモを倒さなければならない。他のゲームでもよく見た現象がこのゲームでも発生している。
 難易度は高いと前述したが、装備やミルクモーラーでしっかりと強化して進めれば決して難しいわけではないバランスにはなっている。ただし、開放要素を早く楽しみたい人にとっては強化という手間が入るため、面倒な内容になっているとも言える。もっとゲーム中でもヒントが出ればマシなのだが……ちなみに筆者は攻略情報(英語)を流石に見ました。
 
 
 ○風景が代わり映えしない
 裏庭を舞台としたサバイバルクラフトだが、生い茂った草と泥のような土を走る時間が大半を占める。ステージによっては木に登ったり、洞窟を探索したりと、雰囲気が少し変わったりもするが、基本は裏庭でしかないので、思えば遠くへ来たもんだと思わせるような、風景が代わり映えするようなシーンがない。世界観的に仕方のない部分ではあるが、裏庭という狭い領域で完結しているので、見えている範囲が全てであり、見える世界の広がりを感じることができない。"オープンワールド"とは書いているが、その部分に全幅の期待をしてしまうと間違いなく肩透かしを食らうだろう。
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 ▲ゲーム中はだいたいこんな風景が続く。
 
 ○全体的な自由度は低め
 物語を進め、メインダンジョンやサブダンジョンを攻略することによって製作レシピや建築などは開放されていくが、今までできたことの延長線上のものが非常に多く、ブレイクスルーになるような要素があまり多くない(前述したワイヤー設営ぐらいか)。あまり書くとネタバレになるが、武器は序盤で作れる種類からステータスアップと属性付与の進化ぐらいしかなく、変わることはダメージ量ぐらいで、防具も耐性とおまけ効果によって差が出るだけになっている。建築も、硬い壁は置けるようになったり、料理ができるようになったりするなどの発展はあるが、電気などを使ってさらに省スペース化・自動化などはできない。草を効率良く繊維にしてくれる装置はあるが、草を投入・繊維を回収するのはずっと人の手でやるという形が続いてしまう。粘土でオーブンを作ってレンガを作れるようになるが、やってることは他の加工設備と同じである。まあ世界観的にそういう工業的な要素があるゲームではなく、そもそも主人公たちが子供だし、ブレイクスルーを期待するのは難しいのかもしれないが、クソデカチェストが置けるとか、もっと特段に快適になる要素があるとか、拠点をもっと彩ることができるとかの要素があっても良いと思うのは筆者だけであろうか。前述した風景の話の部分も世界観による部分が大きいため、世界観設定に対する宿命とも言える。裏庭が舞台の限界のため、裏庭でできる範囲のことしかできないのである。
 
 
 ○襲撃(スウォーム)の存在
 ややネタバレだが、物語を進めた後、特定の種類の敵は倒し続けると襲撃イベントが発生するようになっている。つまり拠点にその敵が押し寄せてくるという、一種の防衛イベントである。
 襲撃イベントが存在すること自体は五十歩譲って悪いことではないとするが、序盤の貧弱拠点でも発生することがあるし、ゲーム中ではあまり襲撃のヒントがないので、序盤は特に拠点をボコボコにされやすい。襲撃イベントが発生するサバイバルクラフトゲームの代表格といえば7DaysToDieが彷彿とされるが、こちらは前述した通り自由度が低く、あれほど拠点を防衛寄りに設営できない。棘を設置することはできるが、耐久度は低く何回か敵が当たるとすぐ壊れることになったり(序盤のアリを倒すのが精一杯)、マニュアルタレットはあるがオートタレットもなく、敵の進行ルートを制御したり、有刺鉄線で進行を遅延させたり、罠のようなものを設置することもできない。つまり、襲撃イベントが発生した時は都度自らの手で昆虫達を叩き潰さなければならない。
 7DTDのように、襲撃イベントに生き残ることが課題になるゲームではなく、当然ながら防衛に成功したところでメリットはなく(ミューテーションが増えるぐらい)、前述の自由度の低さからおもしろ防衛システムも構築できず、襲撃した敵の素材は補正がかかり手に入る量が少なく設定されていたりと、ただただ面倒くさいイベントになってしまっている。終盤になって赤アリの襲撃イベントが発生したところで特に苦戦はしないのだが、襲撃イベント分の時間は食われるので、もはやそれだけでムカつくシステムになっている。存在する意味ある?
 
 
 ○その他気になること
・インベントリの容量が少ない。
 各種採取ツール・武器数本・弓矢・回復…と持っていくとそれだけでインベントリの半分が埋まってしまう。ペットに持たせることはできるが、起伏の激しいマップを共に探索できるわけがないため空気。アップデートによりインベントリが増加する予定とのことだが。
・ミューテーションの付替えが手間
 仕方のないことだが、効率良く移動・戦闘をするためにはそれにあったミューテーションに付け替える必要がある。登録したセットを呼び出すような便利システムなどは特になく、いちいちステータス画面を開かなければならないため手間がかかる。
・自然配置の汎用装備強化素材の入手量が有限
 なんだか回りくどい記述になってしまったが、単純に言えばワールドに配置されている強化素材がリポップしないということである。サブダンジョン攻略で強化素材を生産できるようにはなるが、かなり物語を進めないといけないことと、入手率の低い素材を要求されたりするため、装備フル強化は一種のエンドコンテンツじみたものになってしまっている。これは正式版に入ってからのことであり、早期アクセス版はリポップしていたし、属性強化素材の方は相変わらずリポップするのでよくわからないことになっている。弱点はともかく耐性の影響を考えて、できるだけ複数種の武器を持ちたいところだが、全てを強化していくのは攻略段階では難しいだろう。
・設置できる明かりの光量が足りない
 なので部屋の中には、最も光量のある置き燭台をいろいろなところに設置することになる。吊り下げランプや壁掛けランプは雰囲気程度しかなく、ほぼ使われないことに。


●総評
 新鮮な体験ができるサバイバルクラフトで、実績ある開発元でもあるため、手堅い出来になっている。難易度がやや高いことと、自由度が低めなきらいはあるが、全体的なゲームの出来としては高くまとまっているだろう。完成度の高いサバイバルクラフトゲームがやりたいならオススメできる作品になっている。特に、マルチで一緒に遊ぶ友達が居ればかなり楽しめる。
 あとEDF隊員にもおすすめ。昆虫要素と防衛要素あるし。(EDFは地球を守れるなら街や人はどうなってもいいスタンスなので拠点は破壊される)
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